研究概要 |
イオン吸着体組成を異にする土壌試料(腐植質,アロフェン質,スメクタイト質,カオリン質、カオリン+酸化鉄鉱物質)に銅,亜鉛,鉛塩を添加して野外の水分含量に近い状態で反応させ定期的に連続抽出を行い,形態分析を行った. この結果、いずれの土壌でも銅,鉛では酸化物結合態の金属含量が最も高くなり,しかも反応時間とともに増加すること.そしてその分だけ交換態の量が減少することがわかった.この形態変化は反応開始後30日間にわたって進行した.亜鉛ではその他の金属と比較して交換態の割合が高かった. 電気化学的重金属除去効率改善のための基礎的知見を得るため,5×5×15cmのアクリル容器に充填した銅羽汚染土壌の両端に20Vの一定電位差を与え,陽極側から塩化ナトリウム溶液を供給しながら,土壌の各部の電位,電気浸透流量と組成,土壌の間隙水および吸着イオン量とその時間変化を測定した. 通電に伴う陽極近傍の強酸性化によって土壌鉱物が溶解し,アルミニウムイオンが土壌溶液の主要陽イオンとなった.対イオンは塩化物イオンであり,両者はともに陰極側へ徐々に移動した.アルミニウムイオンの出現濃度は供給塩化ナトリウム濃度が高いほど高かった.しかしそれは銅イオンの移動速度には大きく影響しなかった.この結果から,供給塩濃度は高く保つ必要がないと結論した. 陰極付近のアルカリ化による銅イオンの沈殿防止のため,陰極近傍に水素型陽イオン交換樹脂を充填したところ,アルカリ土壌へ浸透するのを防止でき,かつ陽極から移動した銅イオンは定量的に樹脂に補足された.水素型陽イオン交換樹脂を用いる方法の有効性が証明された.
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