研究概要 |
本研究の目的はどのような農薬も使用せずに,従来と同じ肥料を使用しながら,特殊な施肥法によって土壌pHを低く維持し,水溶性アルミニウムを一時的に増大させてジャガイモそうか病を抑制することにある. 過燐酸石灰や硫酸カリウムは全作土に施肥するが,硫酸アンモニウムのみジャガイモの播種する作条に施肥する.この方法によって,土壌pHは低く維持され,ジャガイモ塊茎の肥大する領域の水溶性アルミニウムは増大する.ジャガイモそうか病は水溶性アルミニウムが0.2-0.3mg L^<-1>かこれ以上で抑制される.N,P,Kの3要素を混合して全量を作条に施肥する従来の方法に比較して,この特殊な施肥法によって土壌pHは開花期から収穫期まで0.1〜0.8低く維持される.しかしながら一部のアロフェン含有率の高い淡色黒ボク土においは可溶性アルミニウムが低いために,ジャガイモそうか病の抑制はきわめて困難である.他の土壌タイプにおいてはこの方法によって容易にジャガイモそうか病は抑制できる. この方法の利点は肥料以外に農薬を全く使用しないために,土壌や農業環境に害を与えないこと,それにコストはきわめて低いか無料であることにある.
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