研究概要 |
ラットアンジオテンシンIIレセプターを介した情報伝達機構 ラットアンジオテンシンIIレセプター(AT1A)にはGqタンパク質が結合していることが報告されている.本研究ではAT1Aレセプターのカルボキシル末端領域、および第2細胞内ループ領域のアミノ酸残基に部位特異的突然変異を導入し、セカンドメッセンジャー系の変化を観察することによりレセプターに対するGqタンパク質の相互作用を明らかにした.カルボキシル末端領域についてはテ-ル領域の種々の欠失変異体(311,312,313,314,318番目のアミノ酸残基に終止コドンを導入しテ-ル領域を欠失させたAT1A,del311-del318)およびアラニン置換変異体(312から314番目のアミノ酸残基をアラニンに置換したAT1A,Y312A,F313A,L314A)を作製した.また、第2細胞内ループ領域についてはアラニン置換変異体(D125A,R126A,Y127A)を作製し、これらの変異体についてシグナル伝達系の変化をGTP効果およびIP_3産成量により評価した.カルボキシル末端テ-ル領域変異体については、del314ではGTP効果およびIP_3産成ともに消失した.一方、del318は野生型と同様であった.Y312A,F313A,L314AについてはいずれもGTP効果およびIP_3産成ともに消失した.この結果はカルボキシル末端テ-ル領域のY312,F313,L314の3残基がGqタンパク質との相互作用に関わっていることを示している.また第2細胞内ループ領域のアラニン置換変異体(D125A,R126A,Y127A)について検討したところ、R126A変異体でのみGTP効果が消失した.以上の結果から、AT1Aレセプターに対するGqタンパク質の相互作用にはカルボキシル末端領域、および第2細胞内ループ領域の数個のアミノ酸残基が関わっていることが明らかになった.
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