研究概要 |
大麦の発芽抑制物質であるソロキニアニンについては、d-カルボンより出発し、合成することに成功した。全17工程、4%の収率であった。また、本合成品の比旋光度は、符号を含めて天然物と良い一致を示したことで、天然物の絶対立体配置が、IR,4R,5S,6R,8S,13S,2′Rであることが明らかとなった。 また、昆虫の成長及び摂食阻害物質であるアザジラクチンに関しては、高度に官能基化されたデカリン部分の構築の検討を行なった。その結果、分子内ディールス・アルダー反応と分子内ラジカル環化反応を用いることで最も合成が困難とされるB環部分の全置換基を望む立体化学で供えたデカリン骨格の構築に成功した。特にアザジラクチンの右側テトラシクロフラン部分に相当する大きな置換基を有した骨格の形成は世界で初めての例であり、本成果が、アザジラクチン全合成に向けての大きな進歩であるといえる。
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