研究課題/領域番号 |
08660132
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物生産化学・応用有機化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
早川 洋一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (20208606)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | アポトーシス / 微生物代謝産物 / RB蛋白質 / アデノウィルス / E1A遺伝子 |
研究概要 |
癌抑制遺伝子産物であるRB蛋白質は多くの癌細胞においてその機能が失われているが、このような細胞はアポトーシスを起こしやすいと考えられている。そこで、アデノウイルス癌遺伝子によりRB蛋白質を失活させた細胞に対して選択的にアポトーシスを誘導する微生物代謝産物を探索した。 アデノウイルスE1A遺伝子で形質転換したラットグリア細胞を用いて、土壌分離菌約3,500株より探索した結果、Nocardiopsis sp.と同定した放線菌の生産物にE1A癌遺伝子導入細胞に対して選択的に細胞死を誘導する活性が認められた。活性物質を単離したところ、分子式C_<58>H_<96>O_<21>の新規物質と判明し、apoptolidinと命名した。各種2次元NMRを中心とした機器分析の結果、apoptolidinの構造は全く新しいタイプの20員環マクロライドであることが明らかとなった。本化合物による細胞死は、DNAの断片化とクロマチンの凝縮を伴うことからアポトーシスであると判明した。また、この細胞死はアデノウイルス12型がコードする2種のアポトース抑制蛋白質、E1B19KおよびE1B54Kの遺伝子導入によっても抑制されなかった。Apoptolidinのアデノウイルス癌遺伝子細胞に対するIC_<50>が、10〜17ng/mlであったのに対し、正常グリア細胞や線維芽細胞に対するIC_<50>は100μg/ml以上であった。一方、apoptolidinはSV40形質転換細胞など、他のRB蛋白質失活細胞に対しては無効であったことから、そのアポトーシス誘導活性はRB蛋白質の失活ではなく、E1A遺伝子の存在に依存しているものと考えられる。今後、apoptolidinの活性発現機構をさらに解析するとともに、その抗腫瘍活性を検討することにより、癌細胞に対して選択的な抗癌剤の開発が期待される。
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