研究課題/領域番号 |
08660148
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
食品科学・製品科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮脇 長人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80012053)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 水溶液構造 / 水分活性 / 水の活動度係数 / 氷点降下 / 動的水和数 / 粘度 / 浸透圧 / 食品物性 |
研究概要 |
食品中の水分状態の溶液論的方法に基づく物理化学的解析とその食品物性との関係の解明を目標とし、以下に示す成果を得ることができた。 1.低分子電解質、低分子非電解質、糖類、高分子などを溶質とする二成分系水溶液について、水分活性、水の活動度係数の系統的測定を行い、水の活動度係数の溶質濃度依存性が次式により良好に記述されることがわかった。 logγ_w=αX_s^2+βX_s^3 (1) 2.従来から報告されている水溶液構造パラメーターとして溶質モル比容、混合エントロピー、エカトリアル-OH数、粘度のB係数、動的水和数等の式(1)のパラメーターαとは、低分子電解質、非電解質、糖類水溶液のいずれにおいても良好な相関を示し、パラメーターαの溶液構造指標としての意義が確立した。 3.ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリビニルピロリドンなど高分子溶液においては、パラメーターαは固有粘度と相関を示し、このことは溶液構造と食品力学物性との関わりにおいて重要な意味を有する。 4.同一種類の高分子溶液においてはパラメーターαは分子量の二乗に依存する傾向を示した。 5.塩類水溶液においてはパラメーターαで記述されるマクロな水溶液構造とプロトンNMRによるスピン-格子緩和時間により測定されるミクロな水溶液構造の間には良好な相関関係が見られた。 水の活動度係数の溶質濃度依存性から求めたパラメーターαは溶液論的パラメーターであり、高濃度領域においても意味を有し、極限希薄状態のみでしか意味を有しない従来の溶液構造パラメーターとは大きく異なっており、さらに水分活性の推定にも利用することができるという実用的意味を有している。また、このパラメーターαによって記述されるマクロな水溶液構造とNMRレベルでの水溶液構造とが一致することは極めて興味深く、食品物性研究のうえでも重要な意義を有すると思われる。
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