研究課題/領域番号 |
08660216
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 宏 北海道大学, 水産学部, 助教授 (00160177)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | サクラマス / 母川回帰 / バイオテレメトリー / 臭覚 / 視覚 / 河川識別 / ステロイドホルモン / アミノ酸 |
研究概要 |
サクラマスの母川回帰機構を解明するため、感覚昨日妨害処理を行ったサクラマスの母川回帰行動をバイオテレメトリー解析、血中ステロイドホルモン濃度と母川回帰行動との相関解析、臭覚応答と母川回帰行動との相関解析、を行い以下の結果を得た。 1、洞爺湖に流入河川に回帰したサクラマスを無処理(雄3個体・雌1個体)で湖に再放流すると全個体が湖岸沿いに遊泳して、雄2個体と雌1個体がポロモイ川に回帰したが、雄1個体は他の河川に遡上した。臭覚妨害処理(ワセリンを塗布した脱脂綿を鼻腔に挿入して縫合:雌雄各1個体)を行うと、放流直後は湖岸沿いに遊泳するが次第に湖岸から離れた。また、視覚妨害処理(眼球にカーボントナーと油を注入:雌雄各1個体)を行うと、放流直後から湖岸から離れて遊泳した。両感覚妨害処理個体とも河川には回帰しなかった。 2、バイオテレメトリーにより母川回帰行動を追跡した無処理の雄サクラマスから血液を1ml採取し、血中17α,20β-dihydroxy-4-pregnen-3-one (DHP)をラジオイムノアッセイ法により測定したところ、DHP量が低い個体は母川回帰するが、高い個体は他の河川に遡上する傾向が認められた。 3、河川水に対するサクラマスの臭神経応答を電気生理学的に測定したところ、サクラマスは各河川水の匂いを識別する能力があるが、その識別閾値が0.1〜1.0%であることから河口近くでなければ河川識別ができないことが判明した。 以上の結果、サクラマスは臭覚を用いて河口近くで河川識別をしているが、河川に近づくためには視覚も用いていることが明らかになった。また、血中DHP量により母川回帰性が異なる可能性が示唆された。
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