研究概要 |
現在青果物の大半は一旦は卸売市場内に持ち込み品質評価のうえ価格形成を行い再び市場外に搬出するという手間暇をかけた流通形態を取っている。青果物は生鮮食料品のため,現物を目の前にして品質評価をしなければならない商品特性から,現行方式の市場内取引はいわば生鮮食料品共通の宿命であり,避けられないシステムとされてきた。 しかし近年,静止画像を利用した「画像情報せり」について研究が進められている。これは値決めの際に,電送される画像情報に基づいて品質評価をし,価格形成を行おうとするものである。すなわち,本研究の目指す「画像情報せり」とは、従来市場内で現物を目の前にして行っていたせり方式を、産地から電送される「画像情報」に基づいて瞬時にコンピュータせりを行う方式に変えるものである。この方式は現物を市場内に持ち込む必要性が無くなり生鮮食料品の第一の要点となる鮮度保持に効果があると同時に,輸送コスト・市場流通経費等の大幅な削減が図られることは疑い得ないものとなる。 しかしながらその実現のためには多くの課題が存在する。それらは大別して,(1)画像伝達技術のシステム化、(2)伝達情報そのものの集積されたデータベース化,そして(3)卸売市場法と関係する制度の見直しである。 このうち本研究では(2)の伝達情報そのものをシスティマティックに集積するデータベース化に関するものである。その為に全国の卸売市場を対象に品質評価に関する実態調査及びアンケート調査を行い,品質評価基準の整備を行った。さらに値決めに必要な市場データの時系列解析,ニューラルネットによる価格予測法の研究開発も行った。
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