研究概要 |
北海道における中山間町村から,その耕地面積に対する普通畑率が70%以上の8町村を抽出した。中間地域として留寿都村,洞爺村,美瑛町,中札内村の4町村,山間地域として京極町,南富良野町,津別町,新得町の4町を対象とした。 農業集落の評価指標として,集落全体の農業粗生産額を示す集落粗生産,集落内農家1戸当たりの平均粗生産額を示す戸当たり粗生産を用いたが,前者が集落レベルでの評価,後者が農家レベルでの評価に相当する。 集落粗生産については,5億円以上(A),5〜3億円(B),3〜2億円(C),2〜1億円(D),1億円未満(E)の5段階に類別したが,全体的にはD及びE集落が多く,約7割を占めていた。A集落の出現数は町村によりかなり異なっており,中札内村で最も多く,続いて南富良野町,留寿都村,洞爺村,津別町で複数集落が含まれているのに対し,京極町,美瑛町,新得町ではA集落は存在しないという差異が認められた。このような差異について考察するため,集落粗生産を戸数規模(各集落に含まれる販売農家数),耕地規模(販売農家1戸当たりの平均耕地面積),生産性(単位耕地面積当たりの粗生産額)の3つの構成要素の積として表現し,町村別にどの要素の寄与が大きいのかを明らかにした。 戸当たり粗生産についても5段階に類別したが,戸当たり粗生産の大きい集落では,耕地規模の寄与の大きい集落と,生産性の寄与の大きい集落に明確に区分された。 担い手の動向については,中核農家率,同居跡継ぎ農家率,跡継ぎ男子専従農家率の3つの指標について検討し,集落粗生産及び戸当たり粗生産区分の差異に加えて,中心集落からの距離の大小による核集落の立地的性状の影響も大きいことを明らかにした。
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