研究概要 |
液性限界は,土が液体のように容易には流動せず塑性体として振るまう含水比として,定義されている。一般に液性限界の測定には,2つの試験法が標準化され用いられている。一つはキャサグランデ法であり,日本やアメリカで標準仕様として採用されている。他の一つはフォールコーン法でヨーロッパで一般的である。本研究の目的は,これら2つの試験法の力学的な特性を実験的に調べ,粘土・水系を微視的に検討することにより,試験法の物理的な意味を考察することにある。 試料粘土には,カオリナイト(K)とモンモリロナイト(M)という典型的な粘土鉱物を採用し,これらの混合物の液性限界を,2つの試験法により測定し比較検討した。カオリナイトK=100%試料の場合,両試験結果ともほぼ一致し,LL=30.2%となった。モンモリロナイト成分を増加させると,試料の流動性が増すため,LL値も線形的に増加した。ただしこの増加の程度は試験法によって異なった。極端な例として,モンモリロナイトM=100%試料を例にとると,キャサグランデ法ではLL=895%に対し,フォールコーン法では552%と小さな値であった。 この差異は両試験法における物理的な取扱いの違いと,モンモリロナイトの有するチキソトソピックな性質に起因することが明らかになった。簡単なフォースゲージを用いて,試料の引張り強度を測定したところ,液性限界試験と同様の傾向が確認され,その引張り強度はLLの状態で20〜50kPaであると推定された。
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