研究概要 |
本研究は,農道舗装の構造設計法に必要な路床土の力学的挙動を解明することを目的とした.構造設計法では,舗装を半無限軸対称多層弾性体とみなし,輪荷重によって舗装体に生じる応力・ひずみや変位を計算することを基本としている.この計算では,層厚の他に各層のヤング係数とポアソン比の値を与える必要がある.そこで,筆者は,有限領域に拘束された軸対称多層弾性体を解析できることを見出した.そして,円板との寸法比が異なる二つの円筒を用いて平板載荷試験を行い,そのときの荷重と変位の関係を理論解に当てはめることによって,土のヤング係数とポアソン比を同時に算定する方法を提案した. 舗装を念頭におくと,繰返し載荷による土の力学的性質の変化を知ることが重要な要件の一つである.筆者は,円筒土槽を使用した繰返し載荷試験を行ってきたが,従来は動的な荷重と変位を読みとる方式であったために長周期の実験しか行えず,また測定に人手と労力を要した.そのような難点を改善するために,荷重と変位の自記装置およびデータの収録と解析のためのプログラムを科研費で購入した.それによって実験が格段に能率的となり,また,短周期での実験が可能となった.そこで,0.5〜18万回の繰返し平板載荷試験を行い,締固め条件を異にしたときのヤング係数やポアソン比と載荷回数の関係を求めた.その結果,いずれの条件でも,載荷回数の増加に伴って土のヤング係数は増大する傾向がみられてたが,ポアソン比の変化傾向は認められなかった. 本研究では,容積約30lと10lの土槽と直径10cmの円板を使用した.しかし,これでは試料の準備と締固めに多大の労力を要するため,今後はもっと小型の土槽を使用した実験を考えている.しかし,その場合,荷重と変位が微小となるため,高度のセンサーが要求され,実験装置の改良が必要となる.
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