| 研究概要 |
圃場斜面幅の変化や土壌の種類が土壌流亡量に与える影響を解明するために、等流型表面流を用いた基礎実験および理論的な検討を行い、次の事項が明らかにされた。
(1) 実験開始約10分後に、いずれの斜面幅においても侵食溝の形状に変化がみられない「早期安定型」と、10分過ぎても形状が変化していく「発達型」の2つに分けられることが分かった。
(2) 斜面幅と侵食形状の関係では、斜面幅が増大するにつれ、早期安定型の発生率が減少し、発達型が増える傾向がみられた。斜面長を一定と考えると、斜面幅が増加するにつれ単位幅当たりの土壌流亡量は一定値に近づく傾向がみられた。すなわち斜面長150cm、斜面幅が約60cm以上(斜面幅/斜面長比が0.3)になると土壌流亡量は一定値に近づくようである。
(3) 植壌土では微細粒子の移動が多く見られたが、表面水量を増加させると,砂粒子と粘土粒子の侵食量が増加し,シルト粒子の侵食量は減少した.さらに,植壌土,砂壌土の双方ともに粘土粒子は実験の初期間に多く流出する傾向を示した.
(4) 砂粒子は侵食量が最大になる期間に最大の侵食量を記録した.また,砂粒子の侵食が増加していく状況下でrillの形成の開始が観測された.
(5) 植壌土と砂壌土を対象として、25cm^3/sおよび50cm^3/sの表面流を作用させた場合、双方ともに実験の初期に粘土粒子が多く流出した。砂粒子は侵食量が最も大きくなる期間に最大の侵食量を記録し、この場合、シルト粒子は侵食過程であまり重要な役割を示さなかった。
(6) 本実験の条件下ではRillは元の土壌と侵食後の土壌の砂粒子の割合が0.64〜0.72の間に発生する事が分かった。これまでにRillの形成過程が不詳であった土粒子の関与についても新しい知見を得ることができた。
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