研究概要 |
著者らは,本研究において降雨の時間集中度に基づく1時間雨量の確立推定法を提案し,わが国の主に気象官署の資料を用いて妥当性を確めた。一連の研究において得た結果を要約すると次のようである。 松田らは降雨の時間集中度について研究し,降雨の時間集中度の正規変換変数の超過確率に対応する確率1時間雨量の推定法を提案した.これらの論文では,年最大24時間雨量を基礎データとして解析し,降雨の時間集中度は,1)Slade III型正規変換式によって正規変数に変換できること,2)変換式に含まれる係数は一定あるいは年最大24時間雨量の関数で与えられること,3)推定された降雨の時間集中度の確率推定値は実際の分布と比較して妥当な値を示すこと,4)Slade III型正規変換式および降雨の時間集中度から確率1時間雨量が推定できることなど興味ある結果を示した. さらに,これらの結果を用いて年最大1時間雨量を推定する簡便法を提案した.この方法を適用するには地域に適用可能なパラメータを求めておく必要がある.それらを利用することによって年最大24時間雨量が与えられると,年最大1時間雨量はなくても計算のみによって年最大1時間雨量が推定できる.また,必ずしもデータが追加される度に再帰年確率1時間雨量を再計算する必要はない. また,雨量資料がそろっている日本の気象官署(120カ所)の年最大1時間雨量を用いて,その生起確率の発生範囲と年最大1時間雨量の推定にガンベル分布を利用するために必要なパラメーターを求め,地域的な特徴を調べた。各地の実測の年最大1時間雨量の平均値,20年・50年確率値と本手法による推定値はいずれもかなり一致しており,応用性の広いことが認められた.
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