研究概要 |
本研究は農作業車両の運動を非ホロノミック車輪型移動ロボットの運動としてとらえ,主に,運動制御の問題を最適制御問題に変換して検討した。 トラクタの枕地での最短旋回時間問題は最適制御理論で解くことが可能である。ところがこれはBang-Bang Principleを採用すると直観的に解くことができる。このため,1)直観的解法,2)微分幾何学的解法,3)最大原理による解法と4)数値解法を採用し完全解を得ることができた。 また,数値解法を積極的に採用し,枕地問題を一般的な軌道生成問題に拡張し任意の初期位置から任意の終端位置への運動制御を検討し,農用車両の自律走行問題の基礎を検討した。 他方,この枕地問題を研究する過程で,非ホロノミック車両の運動特性が横並び二輪車と縦並び二輪車で本質的に異なることに興味を持ち,その違いに制御方式がどのように係わりあいをもつかという新しい問題が浮かび上がってきた。このため,障害物や外乱を考慮したフィードバック制御を適用することを試みた。 その具体例として,トラクタに作業機を装着する場合を取り上げ,そのときのフィードバック軌道生成問題を解いた。すなわち,自動的に位置決めを行うための自動操縦問題の一つの方法を示した。 また,横並び二輪車(耕うん機や2輪ロボット)をモデル化し,障害物を回避しながら目的地に到達するフィードバック軌道の生成を行える一つの方式を提案した。この問題は農業機械ばかりでなく広く移動ロボットの軌道生成問題にも適用出来ることを示した。 最適制御問題に変換する方法は,農用車両の自律走行問題の強力な武器になると考えられている。
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