ルーメン内に生息する低pH耐性菌であるStreptococcus bovisおよび、セルロース分解菌であるRuminococcus albusのH^+-ATPaseをコードする遺伝子郡(atpオペロン)をInverse PCR法によりクローニングし、全塩基配列を決定した。 S.bovisのatpオペロンは、atpE(aサブユニット)、atpB(a)、atpF(b)、atpH(δ)、atpA(α)、atpG(γ)、atpD(β)、およびatpC(ε)がこの順番で構成されており、全塩基数は約6.5kbpであった。 R.albusのatpオペロンは、atpB(cサブユニット)、atpE(c)、atpF(b)、atpH(δ)、atpA(α)、atpG(γ)、atpD(β)、およびatpC(ε)がこの順番で構成されており、atpBの上流にはB.subtilisのatplと類似しているORFがあった。このORFを含めて、R.albusのatpオペロンの全塩基数は約7kbpであった。 また、S.bovisのatpオペロンについてPrimer extensionを試みた結果、長さの異なる3つのatp-mRNAが存在することが明らかとなった。また、これらの3つのRNAの相対量は培養時のpHによって異なっていた。従って、本酵素の合成はpHによって転写もしくは転写後レベルで調節される可能性がある。
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