研究概要 |
本研究は、MDV潜伏感染細胞内において発現するウイルス遺伝子の解析を目的とする。平成8年度においては、解析のための方法の確立を目的とした。潜伏感染におけるウイルス遺伝子の発現量は、低いことが予想されたため、mRNAの高感度検出法として、cDNAを合成したのち、PCR法とサザンブロットハイブリダイゼーションによって転写物を検出する高感度なRT-PCR法を設定するとともに、in situ hybridization法および免疫組織化学的検出法により、in situにおけるmRNAおよびその産物の高感度検出を可能にした。平成9年度においては、MDV潜伏感染細胞のモデル系としてMDV株化細胞に注目して、潜伏感染細胞に共通する転写物を同定した。MDV潜伏感染細胞では、偶発的にウイルスが活性化した細胞が潜伏感染細胞特異的な転写物の検出を難しくすることが知られている。本研究では、対象細胞を減らし高感度なRT-PCR法により検出感度を高めることにより、潜伏状態のウイルスの転写物(LAT)を試みた。そのため、MDV遺伝子のうちICP4,ICP27,DNAポリメラーゼ、US3,A41,gA,gB,チミジンキナ-ぜおよびUL50についてプローブを作出したのちRT-PCR法を実施した。これらの内、0.7kbpのICP4からの転写物のみが、対象とした6種のMDV株価細胞に共通して検出された。この0.7kbpのRT-PCR産物に対応する転写物はLATは、潜伏感染細胞で共通するLATであることが示唆される。
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