研究概要 |
S.aureus表皮剥脱毒素C(ETC)産生株、S.hyicus表皮剥脱毒素B,C,D(shETB,shETC,shETD)産生株からcleared lysate法により42kbプラスミドを抽出し、制限酵素で消化後、pUC119に連結し、大腸菌JM105株に形質転換した。得られた形質転換株をTYbrothで培養後、遠心上清を回収し、10倍濃縮して1日齢ニワトリひなに接種したところ、2.1kbXba 1断片が挿入されたプラスミドを形質転換した株にETC産生能が、1.7kb Hind III断片が挿入されたプラスミドを形質転換した株にshETB産生能が、3.5kb Hind III断片が挿入されたプラスミドを形質転換した株にshETC産生能が、4.7kb Hind III断片が挿入されたプラスミドを形質転換した株にshETD産生能が認められた。また、培養上清中に産生された各毒素は本来の宿主が産生する毒素と耐熱性、抗原性が同一であった。次に、shETA産生株の染色体DNAをHind IIIとEco RIで消化後、上記の通りに大腸菌にクローニングした。3.5kb Hind III断片および9kb EcoR I断片が挿入されたプラスミドを形質転換した株に表皮剥脱活性が認められ、培養上清中に産生されたshETAは本来の宿主が産生するshETAと耐熱性、抗原性が同一であった。次いで、組換えプラスミドからdeletion mutantを作製し、dideoxy法により塩基配列を決定し、遺伝子情報処理ソフトにより解析した。sETCのOpen reading frame(ORF)は834bpで、278個のアミノ酸をコードしていた。ORFの10bp上流にはS-D配列がみられ、さらに上流にはプロモーター様構造も認められた。しかし、sETC産生遺伝子中にはshETB,ETAおよびETB間で共通な配列は認められず、これらの毒素の推定アミノ酸配列との相同性は20%前後であった。shETBのOpen reading frame(ORF)は804bpで、268個のアミノ酸をコードしていた。ORFの8bp上流にはS-D配列がみられ、さらに上流にはプロモーター様構造も認められた。shETBとETBの推定アミノ酸配列の相同性は約60%であった。
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