研究課題/領域番号 |
08660390
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
二宮 博義 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00063967)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | budding / 中心壊死 / intraarterial cushion / 血管新生 / 血管鋳型 / 腫瘍血管 / 走査型電子顕微鏡 / 自動血流調節能 / 樹脂鋳型法 / 乳癌 / 中膜の線維化 / 血管病変 / 血管の自動収縮能 / 連続切片法 / 中膜の腺維化 |
研究概要 |
1991-1993年および1996-1998年の科学研究費補助による一連の研究で、我々はラット繊維肉腫、ラット繊維腺腫、ラット乳頭状腺腫、イヌ扁平上皮癌、イヌ可移植性性器肉腫、チャイニーズハムスター肝細胞癌、イヌ肝臓癌のそれぞれの血管系について観察してきた。それぞれの腫瘍に共通する特徴として、1)腫瘍血管には血流調節装置であるintraarterial cushionが存在しない、2)腫瘍に分布する動脈では、血管中膜を構成する平滑筋細胞に退行性変化が見られる、等を確認した。 1996-1998年度の研究では研究範囲をさらに広め、観察の目的を、ラット乳癌の血管構築を明らかにすることとし、観察の主眼を腫瘍組織内での血管新生過程と血管系の退行過程(中心壊死の形成過程)とした。研究方法は1)7,12 dimethyl-benzanthraceneをラットに投与し乳癌を得て、2)乳癌の血管系の樹脂鋳型標本を作成し、3)得られた標本を走査型電子顕微鏡で観察する、であった。観察結果は以下のとおりである。乳癌での血管新生は次の過程を経ることが解明された。1)既存の血管に新しい細い血管が刺状に発達(buddingの形成)する。2)隣接する同様の血管から同様のbuddingが進展する、3)両buddingが次第に進展し先端付近で互いに連結し、一つのhair-pinを形成する、4)それぞれのhair-pinが互いに連結し複雑な血管網を形成する。また、血管系の退行は以下の過程を経ることが解明された。1)腫瘍動脈壁の平滑筋細胞に変性(形質溶解、空胞化)が起きる。2)動脈壁が薄くなり血管腔が拡張し静脈化する。3)腫瘍中心部では血管腔の狭窄、扁平化、断裂が起き、本来の血管構築が消失する。今回の研究により、腫瘍血管の新生過程および退行過程(中心壊死の形成過程)を三次元的に詳細に示して、腫瘍血管の特性を明らかにすることができた。
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