研究概要 |
骨の長さの成長は、成長軟骨(骨端軟骨)での軟骨内骨化の機序で行われている。軟骨内骨化には、軟骨細胞の崩壊、血管の侵入、軟骨基質の吸収、骨組織の添加のプロセスがある。本研究では、成長軟骨の形態学的アプローチに最適な成長期ニワトリ(3週齢)の脛骨近位骨端を微細形態、酵素組織化学の手法を用い検討した。 (1)成長軟骨に侵入する血管の形態:エポン準超薄連続切片再構築法を用い観察したところ、侵入血管はループを形成していることが明かとなった。 (2)血管侵入先進部の組織化学的所見:血管侵入先進部には、組織化学的にはカテプシンB,L,アミノペプチダーゼM,A、ヂペプチヂ-ルペプチダーゼI、II、IVなどの蛋白分解酵素や酸性フォスファターゼなどのライソソーム酵素活性は陰性であった。 (3)破軟骨細胞の出現部位:軟骨基質を積極的に吸収する破軟骨細胞は血管侵入部よりかなり骨髄側の軟骨基質表面に初めて観察された。破軟骨細胞が軟骨基質にアッタクした証拠となる軟骨基質でのpurple acid phosphatase活性も先端部には陰性であった。これは血管侵入のかなり骨髄側の所に破軟骨細胞形成部位が存在していることを明示している。 (4)移動型破軟骨細胞の存在・破軟骨細胞の標識酵素であるalkaline p-nitro-phenylphosphatase活性の電子顕微鏡酵素組織化学の所見から、破軟骨細胞形成部位より先進部側の血管周囲腔に移動型は軟骨細胞が認められた。 以上の結果から、血管侵入の骨髄側に破軟骨細胞形成部位が存在し、ここで破軟骨細胞が作られ、成長が続く間、先進部側の次の破軟骨細胞形成部位には軟骨細胞を供給するメカニズムがあることが証明された。
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