心臓洞結節細胞の自動能に関わるイオンチャネル、特に洞結節細胞のみに存在すると考えられる持続性内向き電流をクローニングする目的で我々は研究を行った。 まず我々は家兎心臓洞結節由来のcDNAライブラリーの作成に成功した。現在このライブラリーのスクリーニングが進んでいる。 L型カルシウムチャネルのα1サブユニットのリピートIVのS5-S6領域はジヒドロピリジン結合部位と考えられている。またこの部位はL型カルシウムチャネルのイオン選択性と関連することが知られている。我々はカルシウムチャネルのすべてのサブタイプに相当するS5-S6領域のプライマーをデザインし、家兎心臓洞結節由来のcDNAを材料にreverse transcript-polimerase chain reaction(RT-PCR)法を行い、新たなカルシウムチャネルのクローニングを試みた。現在までに約50のPCRフラグメントの塩基配列を解析した。その結果L型カルシウムチャネルと心臓型ナトリウムチャネルの2種類のチャネルが見つかった。洞結節L型カルシウムチャネルは塩基配列が今までクローニングされているL型カルシウムチャネルと一部異なり、新たなサブタイプである可能性がある。 今後cDNAライブラリーのスクリーニングと、プライマー部位を変更してRT-PCRを進める一方、サブトラクション法、ディファレンシャルディスプレイ法などの方法によるクローニングも進めていく予定である。
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