研究課題/領域番号 |
08670139
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神野 茂樹 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10251224)
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研究分担者 |
村上 浩士 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80262020)
永田 昭久 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50155933)
岡山 博人 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40111950)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 細胞周期 / 癌化 / 分化 / cdk4 / 燐酸化チロシン / cdk6 / リン酸化 |
研究概要 |
高等動物細胞の細胞周期G1期の制御機構の解析は、細胞の分化、癌化、老化がいかにして起こるかを知る上で必要不可欠である。G1期特異的なサイクリン依存性キナーゼCdk4を中心にその制御機構を調べてきた。この酵素は17番目のチロシン残基の燐酸化・脱燐酸化により活性が制御されているが、この制御機構が紫外線によるG1期停止の中心的役割を担っている。このことはチロシン残基をフェニルアラニン残基に置き換えた脱燐酸化型(活性化型)のCdk4が紫外線によりG1期停止を起こせなくなること、そして紫外線照射してG1期停止を起こしている細胞のCdk4は確かにチロシンが燐酸化されたままとなっているから明らかとなった。こうした細胞では修復が完了しないままS期へと入ってしまうため染色体異常が多発する。このCdk4は静止期に燐酸化され、増殖刺激により脱燐酸化され、増殖期には有意な変化のないことを見いだした。この制御機構がG0からG1へ移行するのに使われていることを意味する。このことは増殖中の細胞よりも静止期からスタートさせたばかりの細胞の方が紫外線によく反応して増殖が停止することもよく説明する。G0からG1期への移行と染色体異常の発生との関連は以前より注目されてきたことであり、この機構の解明に重要な手がかりが得られると思われる。 また癌化と通常増殖ではそのシグナル伝達経路が質的に異なっていることを示す知見を得た。通常増殖時のNRK細胞では抗Cdk4抗体の微量注入によりS期開始を阻害できるが、癌増殖時は抗Cdk4抗体だけでは阻害できず、抗Cdk6抗体と共に注入した場合のみにS期開始が阻害できた。ところがどちらの刺激でもCdk4、Cdk6共に活性化されており、発現量も局在も変らない。すなわち癌化誘導時、Cdk6の未知の標的(Rb以外)が誘導されてCdk6に依存したシグナル伝達がONとなり、癌増殖(足場非依存性増殖)が引き起こされることが示唆された。 一方、分裂酵母の性分化制御異常の突然変異株を用いてクローニングされた高等動物細胞由来の遺伝子Rod1は、同様にしてクローニングされた分裂酵母の遺伝子Nrd1のホモログである。両者は栄養源枯渇のシグナルによる分裂酵母の性分化をSte11を制御することによりコントロールしていた。Rod1は、個体の発生過程においても時期特異的な発現パターンを示し、培養細胞レベルでも分化と発現パターンとの間に相関が見られた。巨核球への分化誘導可能なヒト白血病細胞K562にRod1を大量発現させると発現量と相関してその巨核球への分化が抑制された。以上よりRod1は高等動物においても分化制御に関係のあることが分かった.
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