研究概要 |
リボソームRNAの機能構造を誘発するリボソームタンパク質結合の一例として、リボソームのGTPs水解活性に関わるGTPaseRNAドメインとタンパク質の結合機構を解析し、次のような点が明らかとなった。 1)GTPaseRNAドメインに結合するラット肝リボソームタンパク質とその結合部位 ラット肝リボソームから調整・精製したPO,P1,P2タンパク質はin vitroで複合体を形成し(P-複合体)、それにより初めてGTPaseRNAドメインに強く結合した。別なリボソームタンパク質L12タンパク質もGTPaseRNAドメインに結合し、この結合はP-複合体の結合と協調的であった。Footprint法によりRNA上のタンパク質結合部位を解析したところ、P-複合体の結合により28SrRNAの1855-1861残基と1920-1922残基より成るinternal loop部位の化学修飾が保護され、またL12の結合により、1867-1878残基と1877-1899残基より成るヘリックス部分が保護され、それぞれの結合部位としてGTPaseRNAドメイン上にマップされた。これらの結合部位は以前報告した抗28SRNA抗体の結合部位[EMBOJ.(1994)]の近傍であるが明らかに異なっていた。 2)リボソームタンパク質の結合による抗28SRNA抗体受容性の促進 P-複合体およびL12タンパク質の結合により、GTPaseRNAドメインの機能構造を認識する抗28SRNA抗体の親和性が2-4倍増強されることが判明した。この結果は、リボソームタンパク質の各部位への結合によってGTPaseRNAドメインの高次構造が微妙に調整を受け、その構造が安定化することを示唆している。 これらの結果より、GTP水解反応に関与するrRNAドメインの機能構造はリボソームタンパク質P0,P1,P2およびL12タンパク質の結合により誘発されることが示された。また、以前の抗28S抗体のエピトープ解析の結果[EMBOJ.(1994)]と合わせ、誘発される高次構造のモデルを提出、発表した。
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