研究課題/領域番号 |
08670171
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病体医化学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
西川 政勝 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (30144257)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | HL-60 / アポトーシス / プロティンホスファターゼ |
研究概要 |
ヒト白血病細胞株HL-60はビタミンD_3やレチノイン酸によりそれぞれ単球や顆粒球系へ分化誘導される。成熟血球への分化誘導は最終的にはアポトーシスを生じることが近年明らかにされているが、アポトーシス誘導と分化誘導のシグナル伝達の違いについては不明である。Ser/Thrホスファターゼ酵素群は血球細胞の分化・アポトーシスの制御機構に深く関与していると考えられるが、詳細については依然不明である。本研究は分化能を有する野生株HL-60と分化耐性変異株HL-60RA^r細胞を用い、血球系細胞のアポトーシス誘導が細胞周期回転のどの時期にどのような分子機構により制御されているのかを蛋白(Ser/Thr)脱リン酸化酵素ホスファターゼ(PP1、PP2A、カルシニュウリン、PP2C)の関連性を中心に分子薬理的、分子生物学的に検討した。【結果】(1).ジメチルスフィンゴシン(DMS)は、HL-60及びレチノイン酸耐性株HL-60RA^r細胞共ににアポトーシスを誘導したが両細胞株間で差はなく、細胞分化能の有無とアポトーシス誘導とは関連性を見い出せなかった。(2).DMSによるHL-60細胞のアポトーシス誘導はサイクロスポリンA及びFK506により抑制されなかった。PP1/PP2A阻害剤オカダ酸やカリクリンAはDMSによるアポトーシスを促進した。【考察】HL-60細胞のアポトーシス誘導の制御機構としてはスフィンゴシン代謝系、及びCキナーゼ系の関与が報告されている。私たちは骨髄系細胞の増殖・分化の制御機構として蛋白Ser/Thrリン酸化反応/キナーゼ系・ホスファターゼ系が深く関与していることを明らかにしてきた。今回の検討により骨髄系細胞のアポトーシス誘導の制御機構にもSer/Thrホスファターゼ酵素群のうちPP2A/PP1系の関与の可能性が明らかとなったが、分化誘導制御とは異なることが示唆された。アポトーシス誘導と細胞周期との関連については引き続き検討を要する研究課題である。
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