研究課題/領域番号 |
08670228
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
大島 孝一 福岡大学, 医学部, 助教授 (50203766)
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研究分担者 |
菊池 昌弘 福岡大学, 医学部, 教授 (80078774)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1996年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ATLL / HTLV-I / PCR / ISH / プロウイルス / 染色体異常 / 組み込み / T細胞性リンパ腫 / REAL分類 / TCR Vβ / RT-PCR |
研究概要 |
572例のリンパ節性のT細胞性リンパ腫において、全例でHTLV-Iプロウイルスの検索を行ない、最近新しく提唱された組織分類(REAL classification)により、組織を再分類した。また予後との相関をみた。HTLV-Iプロウイルスの検索より、572例は以下の3群にわけられた。(A)クローナルなHTLV-Iプロウイルスのみられる、いわゆるATLL(adult T cell leukemia/lymphoma)(247例)、(B)ATLA陽性もしくは、PCR法によりHTLV-Iウイルスが陽性だが、クローナルなHTLV-Iはプロウイルスはみられない、いわゆるHTLV-Iキャリアに発生したと考えられるT細胞性リンパ腫(66例)、(C)ATLA陰性もしくは、PCR法によりHTLV-Iウイルスが陰性の、HTLV-Iと関係のないT細胞性リンパ腫(259例)にわけられた。組織学的には、B群とC群では、しばしばLarge cell typeとAILD typeが見られたが、A群では、Pleomorphic typeが頻回に見られた。臨床的な予後を見ると、B群とC群は同様の予後曲線をしめしたが、あきらかにA群は予後不良であった。 また、HTLV-Iに関連したリンパ節病変には、腫瘍性のものとは別に、反応性の病変及び、腫瘍化の初期病変があり、1)リンパ節炎型で皮膚病性型(HAL-D)とHTLV-I関連リンパ節炎の傍皮質腫大型(HAL-EP)、2)初期腫瘍性のホジキン様病変型(I-ATLL)、3)リンパ腫型(ATLL)の3段階に分けられる。これらのリンパ節におけるHTLV-IのDNAおよびmRNAの発現の関係を知るため、PCR/ISHおよびRT-PCR/ISHを行ない、ATLL8例、I-ATLL8例、HAL-D4例、HAL-EP4例で検索した。ATLLの症例では、リンパ節の構成する細胞の40-60%にプロウイルスDNAが見られた。一方、I-ATLLでは、5-20%であった。また,HALでは、5-1%以下と極く小数であった。ウイルスmRNAの同定では、陽性細胞数は、プロウイルスDNA陽性細胞の数より、小数であった。またATLLおよびI-ATLLの症例の間では、このウイルスmRNAを発現する細胞数は、プロウイルスDNA陽性細胞の数と異なり、ばらつきが見られた。しかしながら、HAL-DおよびHAL-EPでは、ウイルスmRNAを発現する細胞数は極く小数であった。これらの結果から、HTLV-Iの感染及び活性化が、HTLV-Iの標的Tリンパ球の悪性化を促進するものと考えられた。
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