研究課題/領域番号 |
08670229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
橋本 洋 産業医科大学, 医学部, 教授 (10128069)
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研究分担者 |
森光 洋介 産業医科大学, 医学部, 講師 (90258476)
久岡 正典 産業医科大学, 医学部, 助教授 (40218706)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 軟部腫瘍 / 染色体異常 / 遺伝子異常 / 染色体分析 / RT-PCR / 融合遺伝子 / パラフィン包埋組織 / FISH / CGH |
研究概要 |
平成8年度は、新鮮組織材料よりRNAを抽出し、RT-PCR法を用いて粘液型脂肪肉腫におけるTLS/FUS-CHOPやEwing肉腫におけるEWS-FLI1等の特徴的融合遺伝子の産物の存在を確認した。また、粘液型脂肪肉腫9例のパラフィン包埋組織を用いてFISH法による特徴的染色体相互転座の検索を試みたところ、全例でt(12;16)の存在が示唆されたのに対し、他の粘液状軟部腫瘍では相互転座を認めなかったことから、FISH法の粘液型脂肪肉腫における診断学的有用性が示された。平成9年度は、滑膜肉腫、Ewing/PNET群腫瘍および粘液型脂肪肉腫を対象にパラフィン包埋組織よりRNAを抽出し、RT-PCR法による融合遺伝子産物の検出を試みたところ、滑膜肉腫では94%、Ewing/PNET群では87%、粘液型脂肪肉腫では94%の症例に各々の腫瘍に特徴的な融合遺伝子産物を検出できたことから、パラフィン包埋組織にもこの方法が応用でき、それらの腫瘍の補助的診断法として有用であることが示された。また、デスモイド腫瘍についてパラフィン包埋組織を用いたFISH法を行い、腫瘍の再発と8番染色体のtrisomyの存在に有意な相関関係があることを示した。平成10年度は、従来確定診断が困難であった肺の滑膜肉腫においてRT-PCR法でパラフィン包埋組織よりSYT-SSX融合遺伝子産物を同定することができ、この方法が臨床的に非定型的な症例の確定病理診断において強力な手技となることを証明した。さらに、隆起性皮膚線維肉腫のパラフィン包埋組織より特異的融合遺伝子産物の検出を試みたところ、73%の症例にCOLlA1-PDGFBが検出でき、それらの塩基配列の解折により、融合遺伝子の切断点は症例により様々であることが判明した。また、後腹膜の粘液型脂肪肉腫の多くは組織学的に粘液型悪性線維性組織球腫に類似しており、これらの症例では染色体・遺伝子変異も古典的粘液型脂肪肉腫と異なり、高分化型ないし脱分化型脂肪肉腫に近いことを明らかにした。
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