研究課題/領域番号 |
08670246
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
笹原 正清 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20154015)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 血小板由来増殖因子 / 発達 / 脳 / mRNA / cloning / truncation / 神経賦活因子 / 発現調節 |
研究概要 |
血小板由来増殖因子B鎖(PDGF-B)は、主として間葉系の細胞やグリア細胞に対する増殖因子として同定された。我々は、PDGF-Bが神経細胞に豊富に分布していることを見いだした。以来、中枢神経の調節、賦活、および損傷修復因子として重要であることを示してきた。前年度は、ラット脳を用いて、3.5kbと2.6kbの二種類のPDGF-B mRNAがあり、各々が独立して制御されていることを示した。本年度は、ラット新生仔脳cDNAライブラリーからRACEクローニングにより3.5kbのラットPDGF-B cDNAの全塩基配列を決定した。約1kbに及ぶ5‘側の非翻訳領域(UTS)は人やマウスと高いホモロジーを示し、人PDGF-B mRNAで報告されているような翻訳抑制作用を有することを推測した。同部には、複数のSP-1 promoter配列が見られた。さらに2.6kbのPDGF-B mRNAは、複数の転写開始点を有し、主としてsignal peptide開始点から15nt上流の部分でtruncationを受けた3.5kbのmRNAであった。発達ラット脳で、in situ hybridization等の方法により2.6kbのmRNA発現がPDGF-B蛋白発現に一致していることを示した。以上の事実は、翻訳抑制機能を有する5'UTSを欠いた2.6kbのmRNAを介して効率的に蛋白発現をするという、PDGF-B発現の新たな機構を示すものである。この発現機構は、生後のシナプス形成が活発に行われる時期や、急性の虚血時に観察され、脳の高次機能構築や、保護に重要な働きをしていることが強く疑われ、今後、さらに脳における2.6kbmRNA発現機構およびその機能的役割を解明する必要がある。本年は、血管内膜肥厚におけるPDGF-Bの役割を示した。他方で、新たな神経賦活因子検索の目的で、EGFファミリーであるHeparin-binding(HB-)EGFの発現をしらべた。EGFはIn vitroで神経芽細胞増殖や分化に重要であるが、脳ではEGF発現は極めて限られている。本研究では、HB-EGFが脳EGF受容体のligandとして重要であることを示唆するものである。HB-EGFは腎臓にも分布することを示した。また、共同研究により、人の側頭葉癲癇のモデルラットを開発した。
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