研究課題/領域番号 |
08670252
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
上中 明子 岡山大学, 医学部, 助手 (50273967)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | マウス白血病 / 腫瘍抗原 / 細胞傷害性T細胞認識抗原 / ブロト癌遺伝子akt / 過剰発現 / プロト癌遺伝子akt / 拒絶抗原 / CTL認識ペプチド / 原癌遺伝子akt |
研究概要 |
われわれはこれまでに、マウス白血病RL♂1細胞の腫瘍特異的細胞傷害性T細胞の標的抗原分子は、PI3キナーゼを介したシグナル伝達に深く関与しているプロト癌遺伝子産物Aktの変化したものであることを明らかにした。腫瘍細胞におけるAkt分子の発現量、及び、細胞内局在などの生化学的な解析を行い、悪性形質発現における役割について検討した。 1、Akt分子の変化、発現量、及び、細胞内局在などの生化学的な解析 (1)合成ペプチドを家兎に免疫して抗体を作成した。 (2)ウエスタンブロットによる解析の結果、RL♂1細胞からは正常細胞に検出される56KのAkt蛋白以外に、59Kの蛋白(RL-Akt)が正常Aktに比べて数十倍強発現されていることが判明した。 (3)RL-Akt蛋白は細胞質および細胞膜分画にウエスタンブロットで検出され、細胞質および膜に存在することが判明した。 2、抗原遺伝子RL-AktをNIH3T3細胞にトランスフェクトし、形質の変化を調べた結果、 (1)RL-Aktトランスフェクタント細胞は軟寒天中でコロニーを形成することがわかった。 (2)RL♂1細胞およびトランスフェクタントにおいて血清要求度が低いことが判明した。 (3)トランスフェクタントでのRL-Akt蛋白は、RL♂1細胞同様細胞質および膜に存在することが確認された。 3、RL-Akt抗原量と悪性度との関わりの検討 (1)RL♂1細胞よりRL-Akt抗原欠失株,中等度発現株および強発現株を樹立した。 (2)樹立した各腫瘍細胞株を、BALB/cマウス側背部に摂種し腫瘍の増殖速度を調べた結果、RL-Akt抗原量に比例した増殖が認められた。 4、各腫瘍細胞でのAtk分子の解析(ウエスタンブロット法) これまでに調べたマウス白血病、ミエローマ、メラノーマ、肥満細胞腫、および正常組織でAkt分子の変化は認められなかった。 以上の結果より、RL-Aktの過剰発現および膜への局在は、PDGFレセプター→PI3キナーゼ→Akt→の経路での効果的なシグナル伝達をもたらし、in vitroでのRL♂1細胞の血清低要求性およびin vivoでの増殖性などの悪性形質発現に大きく関与していることを示唆している。今後、免疫系の反応との関係を検討する予定である。
|