1. 二次元セルブロット法(II-D Cell Blot法)の確立。トリプシンで部分消化したフィブロネクチンを、二次元電気泳動後、PVDF膜に転写した。その膜上でフィブロネクチン細胞結合ドメインの存在するスポットを、抗体を用いて確認した。また、蛋白質を転写したPVDF膜上にbaby hamster kidney(BHK-21)細胞を培養し、一日後の細胞接着と細胞形態を肉眼的にあるいは、顕微鏡を用いて観察した。その結果、フィブロネクチン細胞結合ドメインの存在するスポットの位置と、細胞が膜に強く接着したスポットの位置とが一致した。PVDF膜上に転写された蛋白質の一次構造解析法は、アミノ酸シークエンサーを用いて確立している。すなわち、本法を用いて、細胞の接着、分化、死に関連する蛋白質を二次元電気泳動上のスポットとして確認し、そのスポットを切り出してアミノ酸配列を解析することにより、蛋白質の解析は、容易になった。 2. 二次元セルブロット法を用いて、肺小細胞癌培養細胞を神経様細胞に分化誘導させる分子を、肺腺癌培養細胞株培養上清中から、二次元電気泳動上のスポットとして確認した。蛋白質のアミノ酸配列解析から、本蛋白質が、新しい細胞分化誘導因子であることを明らかにした。 3. 我々の確立した、二次元セルブロット法を用いて、細胞の接着、分化、死に関連する蛋白質の解析をさらに進める計画である。
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