研究概要 |
私たちはこれまでの一連の研究で,1)中間宿主貝とマウスを用いて実験室内で維持されている住血吸虫の遺伝子が発育過程で著明な再構成(欠失と増幅)を示すこと,2)C型マウスレトロウイルスのenv領域の配列がマンソン住血吸虫雄虫の遺伝子中に明らかに存在すること,3)日本住血吸虫にはenv領域を除くC型マウスレトロウイルスの配列だけでなく,A型マウスレトロウイルス関連配列,マウスの高度反復配列B1及びB2,マウスの系統識別が可能なミニサテライトmo-2配列が存在し,しかもこのmo-2配列は感染した終宿主由来のものに速やかに変化すること,4)A型及びenv領域を除くC型マウスレトロウイルスの配列は日本住血吸虫雌雄成虫の外被下層に著明に局在するが,マンソン住血吸虫雌雄成虫ではそれが認められないこと,また,両種住血吸虫セルカリア体内にはこれらの配列が検出されないことを報告してきた.さらに,住血吸虫遺伝子中にはマウス第17染色体上に位置する主要組織適合抗原複合体領域(H-2)のN-terminalドメインやC_2ドメイン等の配列が存在することを私たちは最近明らかにした.
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