研究概要 |
リファンピシンの耐性はRNAポリメラーゼのβ-subunitの変異によることが明らかになってる。我々はノカルジアを中心に抗酸菌による不活化機構を研究した結果、リファンピシンの21位のリン酸化や23位のグルコシル化と言う新しい不活化による耐性機構の存在を報告した。さらにこれらの研究中にある種のMycobacteriumやRhodcoccus,GordonaおよびTsukamurella等が異なった不活化機構を示すことを見出した。そこで、M.smegmatis DSM43756株を用いて、新たなリファンピシンの不活化機構を検討した結果、この不活化は23位の水酸基がリボシル化された新しい不活化物であることが明らかになった。またM.chelonae subsp.abscessus,M.flavescens,M.vaccae,M.parafortuitumがM.smegmatisと同様にリボシル化活性を持つことも明らかになった。そこでリボシル化遺伝子をクローニングして、その遺伝子を組み込んだE.coliK12株の細胞破砕液を用いてリファンピシンの変換を検討した。その結果、この組換体で得られた不活化物は、極めて極性が高くこれまで報告したリボシル化体とは異なっていた。この不活化物質は、凍結乾燥した反応液からメタノール抽出、LH-20さらには逆相のHPLCで精製して、MassやNMRの解析よりその構造を決定しt。その構造は、23-[0-(ADP-ribosyl)]rifampicinであった。ADP-ribosylationはジフテリアや百日咳菌等のトキシンによる作用として良く知られているが、抗生物質の不活化としては始めての報告である。従って抗酸菌によるリファンピシン不活化はADP-ribosylation,ADPの離脱という機構により起こるktおが明らかになり、抗酸菌によるリファンピシンのリボシル化の全反応機構を解明することができた。
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