研究概要 |
C型,E型毒素による培養細胞でのSNAP-25あるいはsyntaxinの分解 我々はC型毒素が培養神経細胞NG108に高親和性の結合ををすることを明かにした。 この結合による毒素の細胞内取り込みを検討するために,培養液に加えた毒素がNG108細胞内の標的syntaxinを分解するかどうかを調べた。0.5から50nMのC型毒素で48から96時間処理した場合に分解が認められた。96時間後のED50は1.5nMであった。50nM毒素によるsyntaxinの切断はクロロキンによって促進され,サイクロヘキシミドやNH4C1によって阻害された。50nMの濃度ではクラスリン被覆小胞によるエンドサイトーシスとは異なる経路で細胞内に取り込まれる可能性が示唆された。 また,毒素の細胞への結合を阻害するモノクローナル抗体はsyntaxinの分解を阻害した。C型毒素は低温でNG108細胞に結合し,低温で結合した毒素は抗毒素抗体によって中和されsyntaxinを分解できなかった。 E型毒素については,毒素の結合性を示す細胞実験系が存在しなかっことからC型毒素のような試みは行われていなかった。しかし,我々はSK-N-F1細胞がE型毒素を結合することを見いだし,毒素の結合とSNAP-25の切断実験を試みた。トリプシン処理をしたE型毒素はintactSK-N-F1細胞のSNAP-25を切断したが,未処理の毒素には切断活性が認められなかった。
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