IL-2受容体からの増殖シグナル伝達には、チロシンキナーゼ分子とそれらの基質蛋白分子が重要な役割を担っている。本研究ではIL-2受容体に会合するチロシンキナーゼの下流のシグナル伝達に関わる分子の同定を行った。その結果、IL-2刺激後速やかにチロシンリン酸化を受ける分子量70kDaの蛋白分子(pp70)を同定し、その遺伝子を単離した。pp70は分子内にSH3ドメインやITAM領域を有しており、新規のシグナル伝達アダプター分子と考えられることから、"STAM(Signal Transducing Adaptor Molecule)"と名付けた。STAMはIL-2受容体γc鎖に会合するJak3やGM-CSF受容体βc鎖に会合するJak2と直接会合し、これらチロシンキナーゼの下流のシグナル伝達、特に細胞増殖やc-myc誘導に関わっている可能性が示唆された。
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