研究概要 |
マウス表皮内に分布する樹状のT細胞のほぼすべては単一のT細胞抗原レセプターを発現するγδT細胞である(γδ-dEC).γδT細胞のみを欠損するミュータント(δ^<-1->)マウスに表皮内移植片対宿主反応(GvHR)を誘導し免疫防御反応を精査した結果以下のことが明らかとなった.ミュータントでない通常(WT)マウスではGvHRが自然治癒した同局所に再びGvHRを引き起こすことが出来ない(GvHR抵抗性の獲得)にもかかわらず,δ^<-1->マウスはこのGvHR抵抗性を獲得できなしことが判明した.GvHR抵抗性は局所に集積して来るαβT細胞によって担われるが,γδ-dECはこのαβT細胞機能をup-regulateし表皮免疫防御に参画することを示している. マウス腸管上皮細胞間に分布するT細胞(IEL)はαβ-IEL(50〜60%)とγδ-IEL(40〜50%)で構成されるが,その大多数は胸腺を通過することなく腸管局所で発達分化することが明らかにされている.腸管粘膜にc-kit^+,IL-7R^+,Thy1^+でCD3-,B220^-の未分化リンパ球の小集積を見出し,それらが陰窩の粘膜固有層に分布することからcryptopatch(CP)と命名した.集積するリンパ球の細胞表面マーカーからCPがB細胞系よりT細胞系に分化した幹細胞であることが示唆された.CPがIELの発達分化局所である可能性は極めて高く,CP由来リンパ球がCP周辺の基底膜から上皮細胞層に侵入することはほぼ確実である.
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