研究概要 |
秋田大学医学部衛生学教室で維持していたC57BL/6のコロニー中の雌のなかに血糖値350mg/dlを示す糖尿病マウスを見い出し、正常血糖をしめす雄と交配した。F1得た後は、糖尿病雄を10週で日本クレアから購入した正常血糖をしめす雌と交配した。F7世代まで同様な手順で、糖尿病マウス雄を正常雌と交配した。 糖尿病形質は常染色体優性遺伝形式で遺伝し、雄の場合、生後7-10週で高血糖を示した。雌の場合は、随時血糖あるいは、グルコース負荷により耐糖能の以上を示した。糖尿病発症後雄マウスでは、45週までに50%死亡したが、雌マウスでは1年以上生存した。肥満は認められなかった。 責任遺伝子の所在を特定するために、糖尿病C57BL/6マウス雄、雌をC3H/Heと交配し、F1を得、その後C3H/He、あるいはC57BL/6へ戻し交配しN2を得た。これらの動物のDNAを用い、82個の(15.9【plus-minus】6.25cM)マイクロサテライトマカ-を用いて19本全ての染色体を検索し、連鎖解析を行っ 連鎖解析の結果、7番染色体テロメアのマイクロサテライトマカ-と強い連鎖を認めた。F1xC3HではD7Mit238と27【plus-minus】6cM(Lod Score=3),F1femalexB6maleではD7Mit189と8【plus-minus】4cM(Lod Score=10.3),F1malexB6femaleではD7Mit189と2【plus-minus】2cM(Lod Score=15.6 我々のマウスは遺伝形式からヒトMODYに似ているが、現在まで報告されているヒトMODY遺伝子の相同遺伝子は7番染色体には存在しない。この領域にヒト糖尿病関連遺伝子Ins2(IDDM2)、IDDM4が知られているが、連鎖解析の結果、FGF3の存在位置がこの領域に存在することからFGF3に強く連鎖するIDDM4との関連を今後検討する必要があろう。
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