研究課題/領域番号 |
08670409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | (財)労働科学研究所 |
研究代表者 |
川見 正機 財団法人労働科学研究所, 労働環境保健研究部, 主任研究員 (80153005)
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研究分担者 |
海老原 勇 財団法人労働科学研究所, 労働環境保健研究部, 主任研究員 (80124311)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 100千円 (直接経費: 100千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 有機リン系殺虫剤 / クロルピリホス / ジクロルフェンチオン / 免疫毒性 / アポトーシス / 胸腺萎縮 / 胸腺微小環境 / 胸腺細胞サブセット / ジクロフェンチオン / 動物実験 |
研究概要 |
クロルピリホス及びジクロルフェンチオン(ECP)といった有機リン系殺虫剤において、免疫毒性発現の標的器とされる胸腺に着目し、in vitroにおける胸腺細胞アポトーシス誘発性実験、およびin vivoにおけるこれら有機リン系殺虫剤投与にともなう胸腺萎縮の発現と胸腺微小環境について免疫組織学的な検討を行った。 in vitroにおける胸腺細胞アポトーシス誘発性において、 1)in vitro assayによって、核DNA量解析、CD4+CD8+細胞の解析そしてDNA断片化の成績から、クロルピリホス、ECPともに胸腺細胞にアポトーシスを誘導することが認められた。 有機リン系殺虫剤投与にともなう胸腺萎縮の発現と胸腺微小環境について免疫組織学的な検討では、 2)クロルピリホス、ECPの投与では、dose dependentな胸腺・体重比の減少を認め、高濃度用量では著明な胸腺萎縮発現が認められた。胸腺細胞のフローサイトメトリー解析からは、未熟細胞とされるdouble positiveなCD4+CD8+細胞が胸腺萎縮において感受性を示していることが伺えた。 3)ECPの免疫組織学的な検討からは、H.E.染色とともにUEA-1(ハリエニシダ凝集素)染色において・胸腺皮質領域の狭小化と胸腺髄質領域の相対的な増加が認められた。 4)胸腺微小環境では、胸腺皮質領域の増殖性細胞(PCNA抗体陽性細胞)・CD4+CD8+胸腺細胞の減少が認められた。また、胸腺皮質上皮細胞(MHC Class RT-1B陽性細胞)の網目構造は狭小化を示し、網目構造に内包する胸腺細胞の減少を推察させた。 5)こうした皮質領域の胸腺細胞の減少とは異なり、皮質領域の肥大化したマクロファージ(ED-1抗体陽性細胞)の数的増加を認め、アポトーシスの亢進にともなうアポトーシス細胞の貪食亢進が伺われた。これらは、ECP投与にともなって胸腺皮質領域における胸腺細胞のアポトーシスの亢進が誘導され、結果的に著明な胸腺萎縮を発現したものと考えられた。 6)こうした胸腺萎縮とアポトーシスとの関連性は、胸腺がT細胞分化誘導の場とされることから、免疫系の成立過程に少なからず影響を及ぼすものと考えられ、今後の免疫毒性評価の有用なアプローチとなるのではないかと思われた。
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