研究概要 |
本研究は、加齢にともなって中枢神経系の代償的な機能が低下すると考えられている中高年の人々が、許容濃度付近の有機溶剤に反復暴露された場合に、青年期の人々が暴露を受けた場合の影響と比較して、中枢神経系の機能的障害を生じ易いのではないかと云う仮説を、トルエンをモデルにして、若齢(青年期)と老齢(初老期)ラットを用いて暴露影響からの回復過程を比較検討する事を目的としている。 (1)暴露打ち切り後16日目、又は28日目に実施したScopolamine challengeによる自発行動量の変化とin vivo Brain microdialysis 暴露開始年齢:若齢(青年期)ラット 4.5^カ月令、老齢(初老期)ラット 21^カ月令 暴露条件:トルエン 0,100,1000ppm,4hr/日、6日/週、12週間 結果:若齢ラットは、対照群と暴露群の行動量の変化に有意な差は検出されなかったが、老齢ラットは、対照群と比較して暴露群はいずれも著明な行動量の増大を認めた。この自発行動量の変化は、micro-dialysisによる海馬のAcetylcholineの放出の増大、Cholineの減少と対応が認められた。 (2)Radiolabeled receptor assayとCholineacetyltransferase activityの検討 暴露開始年齢:若齢(青年期)ラット 4.5^カ月令、老齢(初老期)ラット 21^カ月令 暴露条件:トルエン 0,50,100,1000ppm,3hr/日、5日/週、12週間 結果:暴露打ち切り後3日後、2週間後(若齢ラット)、4週間後(老齢ラット)の大脳皮質、海馬、線状体における結果について、結論を出すにはさらに例数を重ねる必要があり目下続行中である。
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