研究概要 |
家庭用エアゾール製品で使用されている化学物質の健康リスクについて評価する目的で,25.4m^3の30℃に保った換気率0.16回/時間の人工気候室内の室内数点で噴射後に経時的に濃度測定をした結果,以下のことが明らかとなった。なお,家庭用エアゾール製品の成分は,「噴射剤」,「溶剤」,「有効成分」からなる。 (1) LPG,ジメチルエーテル,およびイソペンタンなどの「噴射剤」は,約30分で室内でほぼ均一になった後は大きな濃度変化を起こさず,フタルスリン,レスメトリン,ペルメトリンなどの「有効成分」は,約30分で室内でほぼ均一になった後でも濃度減衰が続き10時間以内に検出下限以下に減衰した。「溶剤」はその中間的な挙動を示した。「噴射剤」,「溶剤」,「有効成分」の蒸気圧は,それぞれで,20℃〜25℃で,おおよそ500〜4,000,30-50,1.0×10^<-5>mmHg以下であり,蒸気圧の違いが室内挙動に最も影響を及ぼしているものと考えられる。 (2) 室内で使用されるのこれらの化学物質の健康リスクを考える際して,蒸気圧が高い物質に関しては主に気中濃度に着目し,蒸気圧が低い物質に関しては気中濃度および床の表面濃度も考慮する必要があると考えられる。
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