研究概要 |
法医中毒の分野において,種々の生体試料から,常に迅速,高感度,高分離の薬毒物の分析が要求される。最近,従来の充填剤に比較して3分の1くらい小さい細孔容積(pore volume)および比表面積(specific surface)の充填剤が開発された。このカラムを用いる事により従来の測定法より,さらに高感度で高分離かつ迅速な測定が期待出来る様になった。我々は今までにこのカラムを用いて,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で抗てんかん薬などの一斉測定法を開発し,平成8年度は,中毒事件の多い薬毒物のうち,ベンゾジアゼピン系薬剤の一斉分析し良好な結果を得た。 平成9年度は,抗うつ薬の一斉分析をこの新しいparticle size2-μ mの逆相(reversed-phase)充填剤のカラム(TSKgel Super-ODS)を用いて行い,従来汎用されている充填剤(particle size 5-μ m;TSKgel ODS-80Ts)を用いたカラムでの測定とその迅速性(時間)・経済性(経費)について比較検討した。 その結果,この充填剤を用いる事により従来の測定方法より,本法のほうが1)室温でもまたgradient elutionなしでも迅速な測定が期待出来る(保持時間の短縮),2)有機溶媒の使用料が少なくてすむ(流量の減少),3)より高感度に測定出来る等の利点がある事が判明した。 以上の結果,新しく開発された充填剤の有用性が証明された。
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