研究概要 |
慢性肉芽腫症の遺伝子治療を目指して、以下の実験を行ってきた。 1)患者細胞の活性酸素産生能検査、cytochrome b558を認識する7D5モノクローナル抗体や抗p47,p67抗体を用いて、患者の診断と病型分類を行った。現在まで登録患者が203名で、病型分類を依頼された患者は計118名、うちgp91-/p22-phox異常91名(80%),p22異常6名(5%),p47異常9名(7%),p67-phox異常12名(10%)であった.2)12名のgp91-phox異常患者についてEBVB cellを樹立し、cytochrome b558がいろんな程度に発現している症例を見出した。3)これらの患者EBVB細胞に我々が作成したHa-MDR-IRES-gp91またはHa-gp91retrovirus vectorを用いてgp91-phox蛋白質を導入を試みた。gp91-phoxの発現を確認できたEBVB細胞の活性酸素産生能は、4名が正常と同程度、4名が低下していたが、4名は全く活性が認められなかった。また4)臍帯血末梢血幹細胞をIL-3,SCF,IL-6存在下で培養増殖させ、このvectorを用いて遺伝子導入を行ったところ、Vincristin8日間選択後に約30%弱の細胞で導入遺伝子の発現が確認されるようになった。〈結論と考察〉我々のretorovirus vectorで、遺伝子導入が可能であったが、導入出来ているに関わらず91-phox欠損患者の中には活性が再構築されない患者がいることが明らかになった。今後この様な患者についての原因の検討が必要である。また同様に、臍帯血末梢血幹細胞への遺伝子導入も可能であることが示されたので、活性再構築可能な患者について、末梢血幹細胞への導入を行い、遺伝子治療の臨床応用のためのProtocl作成を検討中である。
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