研究概要 |
1.IgE rosponsivenessの決定因子の解析;血清中のIgE値は、IgEのクラススイッチイング因子であるIL-4,IL-13とそれを抑制するIFN-gのバランスによって決定されている。すなわち、これらの血清中のサイトカイン値は直接IgE値と相関しないが、その比IL-4/IFN-g,IL-13/IFN-gはいずれかが、高IgE血症では著増している。この増加は、CD1d拘束性のVα24陽性T細胞や好塩基球からのIL-4産生能と関与せず、T細胞のIL-4/IFN-g,IL-13/IFN-g産生比に起因することが示された。そこで、IL-4,IL-13遺伝子の発現調節領域に多型性が存在するのか(IFN-gは進行中)検討したところ、IL-13遺伝子には多型性は認められなかったが、IL-4構造遺伝子の5'側の調節領域に一箇所多型性が存在していた。この多型性は必ずしも現在の血清1gE値またアトピー疾患の存在と関与を示さなかったが、IL-4への核へのシグナル伝達分子であるSTAT6がその変異により結合する可能性があり(IL-4によるIL-4産生誘導)現在検討中である。また喘息の発症に関与するIL-5,IL-12,IgE遺伝子の調節領域や,β2アドレナリン受容体の構造遺伝子の多型性についても検討したが、前3者には多型性が存在せず、β2アドレナリン受容体においては、種々の変異は存在するものの、喘息の臨床型や気道過敏性との関与は認められなかった。 2.アレルゲン特異的ナイーブT細胞の分化の解析;アレルゲン(家ダニ)で患者T細胞をIL-4,IL-12存在下で培養すると、産生するサイトカインのプロフィルが変化する。この変化がCD45RA陽性ナイーブ細胞もしくはCD45RO陽性メモリー細胞のいずれに起因するのか、分画して検討している。
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