研究概要 |
B細胞は抗原とヘルパーT細胞で刺激されると抗体を産生する。最近、我々は抗CD40抗体で活性化されたB細胞をIL-12とIL-18で刺激すると、B細胞自身がIFN-γを産生して、IL-4で誘導されるIgE産生を抑制することを明らかにした。このことは、B細胞が調節性細胞としても機能することを示すものであった(PNAS,1997)。B細胞はIL-12で共刺激された時にのみIL-18に反応してIFN-γを産生することから、IL-12で刺激されたB細胞上のIL-18Rの発現を調べた。その結果、IL-12で刺激されたB細胞が高親和性と低親和性のIL-18Rを発現していることが明らかとなった(投稿中)。次に、IL-12とIL-18をマウスに投与したところ、T,B,NK細胞からIFN-γの産生が誘導され、この因子の作用で生体内でのIgE産生が抑制されることも明らかになった(PNAS,1997)。このように、IL-12とIL-18は、生体内でのTh1とTh2のバランスを決定し、ひいては、免疫応答に伴って産生されるIgE抗体の量をも決めることとが明らかとなってきた。次に我々は、先天的にIgE産生能が低下しているマウス(SJL)を用いて、その脾臓細胞からT細胞を陰性除去(抗Thy-1,抗Lyt-1抗体を用いた)して得たB細胞濃縮分画を、LPSとIL-4で刺激すると、混入していたマクロファージから産生されたIL-12とIL-18の作用で、SJLのB細胞はIgEを産生しないことを明らかにした。更に、LPSで刺激されたマクロファージが産生するIL-12とIL-18がCD4-CD8-CD3+IL-2Rβ+のT細胞を刺激し、IFN-γの産生とFasリガンドの発現増強を誘導することで、IgE産生を抑制することを明らかにした(J.Immunol,印刷中)。このように、マクロファージから産生されたIL-12とIL-18は、Th1/Th2のバランスを決定する上で極めて重要な役割を果たすことが考えられる。更に、IL-12とIL-18を投与する方法は、アレルギー疾患の治療方法としてユニークな手段を提供するものと考えられる。
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