消化管ホルモンのひとつであるセクレチンは、膵をはじめ上部消化管で生理作用を有する。本研究ではジーンターゲッティング法により、セクレチン受容体ノックアウトマウスを作成し、そのマウスを用いて個体レベルでのセクレチン受容体の機能を、特に膵と上部消化管を中心に、明らかにしようとした。まず、既報のラットセクレチン受容体cDNAの塩基配列にもとずき、ラット膵より抽出したRNAを鋳型としてRT-PCR法によりラットセクレチン受容体cDNAを単離した。このcDNAをプローブとして、マウスゲノミックDNAライブラリーをスクリーニングし、2次・3次スクリーニングの後、最終的に2個のボジティブ・クローンを得た。これらのボジティブ・クローンのインサートのサイズは各々約13kbpであった。インサートのenzyme digestionにより、これらの2個のクローンは同一のものであった。このクローンについて種々の制限酵素による処理後、ラットセクレチン受容体cDNAの5'側500bpの領域をプローブとして、southern blottingを行った。これによりポジティブとなったcDNA断片(3-10kbp)を、pBSベクターにサブクローニングした。さらに、enzyme digestionやdeletionによりサブクローニングを行い、今までの所、全長13kbpのうち約4kbpについてシークエンスを完了したが、ラットセクレチン受容体cDNAとホモロジーのある領域を同定するには至っておらず、さらにシークエンスを継続中である。
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