研究課題/領域番号 |
08670610
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
黒木 哲夫 大阪市立大学, 医学部, 教授 (30047328)
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研究分担者 |
西口 修平 大阪市立大学, 医学部, 講師 (10192246)
関 守一 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (50145778)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | hepatocarcingenesis / interferon / basic FGF / prevention / anti-proliferative effects / metastasis / IFN / 肝癌 / bFGF / 肝化学発癌モデル / 肝癌発症予防 / promotion / progression / GST-p / poly I : C |
研究概要 |
INFの発癌抑制作用や肝癌への直接作用について検討した。増殖因子の一種であるbasic fibrobiast growth factor(bFGF)は、癌の増殖及び浸潤に関与し、interferon(IFN)によりその発現が抑制されることが腎癌細胞で報告されている。今回、我々は肝癌細胞を用いて、bFGFやINFが細胞増殖や浸潤機能に及ぼす影響について検討した。ELISA法により、4種の肝癌細胞(PLC/PRF/5,HLF,HepG2,Huh-7)において、bFGFは、HLF>PLC/PRF/5>Huh-7の順に強い発現を示し、HepG2細胞では殆ど発現を認めなかった。この発現量の大小はmRNAレベルにおいても同様であった。肝癌細胞に、IFNを添加し培養すると、PLC/PRF/5細胞では、IFN-αおよびIFN-βより細胞増殖が、濃度依存性に顕著に抑制された。Huh-7細胞では増殖抑制効果が弱く、HepG2,HLE細胞においては、全く認められなかった。IFN-γは、いずれの細胞においても、増殖抑制効果を示さなかった。細胞内bFGFの発現量はPLC/PRF/5細胞において、IFN-αおよびIFN-βより、濃度依存性に低下したが、IFN-γでは、bFGFの発現は低下しなかった。HLF、Huh-7細胞においては、bFGFは低下を認めず、細胞増殖抑制作用とbFGF発現抑制効果に連動性を認めた。血清飢餓状態においた肝癌細胞では、bFGF低発現株のHepG2細胞において、2〜2.5倍の細胞増殖促進効果を認めた。また、bFGFの中和抗体を培養系に添加すると、bFGF高発現株のHLF細胞では細胞増殖を、10〜15%程度、抑制した。以上から、IFN-αおよびIFN-βによる増殖抑制効果は、IFNが内因性bFGFの増殖作用を抑制することによって発現する可能性が示唆された。 In vitroの基底膜浸潤系における検討では、IFNは肝癌細胞の浸潤を、軽度低下させた。しかし、bFGFは、浸潤を促進する効果が認められなかった。 以上により、肝癌におけるbFGFの発現は増殖能と関連性が強く、浸潤能への関与は低いものと考えられた。また、IFNは、一部の肝癌細胞において、増殖抑制効果を認め、その作用機序の一つとしてbFGFを介した自立性増殖を抑制することが示唆された。
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