研究課題/領域番号 |
08670612
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
福井 博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80145838)
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研究分担者 |
栗山 茂樹 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50244710)
植村 正人 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90151836)
菊池 英亮 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50214747)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | エンドトキシン / アルコール / 急性肝不全 / 肝硬変 / マクロファージ / TNF |
研究概要 |
臨床的研究:1)アルコール性肝炎・肝硬変では、総ビリルビン値、DIC合併、白血球数、CRP、ヘパプラスチンテスト、総コレステロール、肝性昏睡、腎不全、肺炎合併、血清アルブミン、AST/ALT比、脾腫の程度の12項目が有意な予後予測因子であったが、多変量解析(Coxの比例ハザードモデル)では、CRP、DIC合併が選択された。2)血中エンドトキシン(Et)はアルコール性肝炎・肝硬変の重症度に関係なく増加していたが、血中IL-6、IL-8、IL-10は死亡例の末期で著増しており、これらの症例では末梢血単球のCD14発現率も高い傾向にあった。実験的研究:1)Kupffer細胞のFITC標識Et摂取はエタノール(EtOH)添加により著減したが、肝細胞のEt摂取はEtOHを添加しても影響を受けなかった。Couplet肝細胞でもFITC標識Etは両細胞に均等に取り込まれて毛細胆管腔へ排出され、EtOH添加の影響を受けなかった。2)チオアセタマイド投与肝硬変ラットではSalmonela Et投与30分後、肝へのEt集積率が低下し、脾、腎へのEt集積率、血中Et停滞率が増加した。また24時間後に体内に残存するEtが多く、糞便中への排泄が減少していた。肝硬変群ではEt投与後、血清総ビリルビン、AST、ALT、LDH、BUN、クレアチニン、TNF-αが増加し、プロトロンビン活性は著減した。肝硬変ラットでは、Kupffer細胞のSalmonela Et摂取能がコントロールに比べ減少していたが、脾マクロファージ(Mφ)、末梢血単球のSalmonela Et摂取能は増加していた。また、肝硬変ラットKupffer細胞のTNF-α産生能は減少していたが、脾Mφ、末梢血単球のTNF-α産生能は増加していた。さらに、Kupffer細胞、脾Mφ、肺Mφを同時に採取し、E Coli 055:B5 Et100ng/ml添加あるいは非添加条件下で培養し、上清中のTNF-α濃度を測定したところ、Et無添加条件下では肝硬変ラットKupffer細胞のTNF-α産生は減少していたが、脾Mφ、肺MφのTNF-α産生はコントロールと変わらなかった。一方、Et添加条件下では肝硬変ラットKupffer細胞のTNF-α産生は減少し、肺MφのTNF-α産生が増加していた。これらの成績から重症肝障害時では多量のEtを処理するため全身のMφが動員され、これが細胞障害性サイトカインの過剰産生、ひいては多臓器不全の発現につながることが示唆される。
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