研究課題/領域番号 |
08670631
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
杉本 元信 東邦大学, 医学部, 助教授 (30120281)
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研究分担者 |
伊藤 金次 東邦大学, 医学部, 助教授 (40057758)
TAKEUCHI Yasuo Toho University School of Medicine, Research Fellow
OCHIAI Kaori Toho University School of Medicine, Research Fellow
KORA Tetsuo Toho University School of Medicine, Research Fellow
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1996年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 肝癌 / グルタチオンS-トランスフェラーゼ / P糖蛋白 |
研究概要 |
グルタチオンS-トランスフェラーゼ(glutathione S-transferase:GST)はヒト肝細胞をはじめ生物界の多くの組織、細胞に分布し、生体の解毒機構に関与する多機能酵素である。薬物代謝第1相においてチトクロームP450により活性化された物質をグルタチオンと抱合させる第2相の酵素であり、基質は内因性および外因性の毒性物質で、発癌物質から各種制癌剤におよぶ。いくつかのアイソザイムのうち、酸性アイソザイム(π)は発癌との関連が議論されている。ラット肝化学発癌モデルの発癌過程で肝内に酵素偏倚細胞巣が生じ、この部にGST-πが強く発現することが報告され、本アイソザイムの腫瘍マーカーとしての意義が注目された。一方、肝前癌細胞の特徴の一つに、抗癌剤を含む細胞障害性薬物に対する耐性があげられており、その機構にGST-πやP-糖蛋白(multidrug-resistance:MDR-1遺伝子産物)の関与が注目されている。本研究ではラットに発癌剤diethylnitrosamine(DEN)を投与し、πが早期から肝小葉の細胞巣に発現,過形成結節で顕著になることを確認したが、癌結節ではむしろπ陽性度の減弱を認めた。同じモデルの組織切片をin situハイブリダイゼーション法により検討すると、癌細胞ではπmRNAの発現を認め、低分化型では高分化型に比べより強い発現を認め、免疫組織学的所見と食い違いがみられた。ついで同じラット肝化学発癌モデルについてGST-πとP-糖蛋自の発現を検討し、両者は過形成結節で著しく、癌細胞ではむしろ低減することが確認された。さらにP-糖蛋白の消長を抗癌剤cysplatin(CDDP)およびepirubicin(EPIR)の影響との関連で詳細に検討した。P糖蛋白の発現は無処置群、CDDP群、EPIR群ではほとんど認められなかった。DEN群では肝細胞の毛細胆管側膜に発現し、過形成結節では強い発現を認めたが、高分化型肝細胞癌では弱く、低分化型では認めなかった。CDDP+DEN群およびEPIR+DEN群ではDEN群より強い発現を認めた。DEN+CDDP群およびDEN+EPlR群では癌部にP-糖蛋白の発現は認められなかった。本研究においては臨床検体における検討ができなかったため、今後これらの知見を臨床応用し、ヒト肝癌組織について検討を進めていく必要がある。
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