研究概要 |
われわれは,平成10年度科学研究費補助金(基盤研究C:研究課題名:気道過敏性発症機序に関する研究ー神経原性炎症の自律神経受容体発現に及ぼす影響;課題番号 08670648)の交付により,気道過敏性および気管支喘息に関する基礎的,臨床的研究を行った。まず基礎的研究としては,卵白アルブミンを用いモルモットに神経原性炎症を介した気管支喘息モデルを作成した。咳嗽を誘発させ気道過敏性および咳過敏性の指標とした。次に,抗アレルギー薬である塩酸アゼラスチンおよびテルフェナジンを前投与し,神経原性炎症を惹起するカブサイシンを10^<-9>Mから10^<-2>Mまで濃度を上昇させて吸入負荷し,誘発される咳嗽数を計測した。その結果,モルモット喘息モデルでは,カブサイシンの濃度依存性に咳嗽が誘発され,この反応はアゼラスチンおよびテルフェナジンにより有意に抑制された。この結果から神経原性炎症を介する気道過敏性は咳嗽を惹起しこれらの反応はヒスタミンにより惹起されることが示唆された。 次に,気道過敏性の臨床研究として,対照としての健常人22人および気管支喘息患者26人を対象とした。全血中の好酸球を用い,その活性をフローサイトメトリーにより好酸球細胞内EG2陽性率で検討し,喘息患者の臨床症状および重症度と対比した。その結果,EG2は好酸球の活性化の指標となり,さらに,喘息発作時にはEG2陽性細胞が著明に増加することから,好酸球細胞内EG2は気管支喘息の病態を鋭敏に反映していることが明らかになった。
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