研究概要 |
低酸素に対する肺メカニックスの反応を開胸・迷走神経切除の条件下の家兎(n=7)において、異なった呼気終末時陽圧呼吸(PEEP)のレベル(2,5,8hPa)で測定し、ヒスタミン注入時の反応(n=5)と比較検討した。機械呼吸下(呼吸数:40/分)の気管内流量と気管内圧を測定し、それらより線型近似法で呼吸サイクル毎の全肺粘性抵抗(R_L)と全肺弾性抵抗(E_L)を測定した。EL測定における低酸素ガス(10%O_2)と非低酸素ガス(25%O_2)の粘性度の影響を補正した。基礎値に対する反応時の増加分を百分率で計算し、パーセント増加率(PIR-R_L,PIR-E_L)と定義した。PEEP:2hPaにおける低酸素曝露のPIR-E_L/PIR-R_L値は有意にヒスタミン投与時の値よりも大きかった(低酸素;0.91±0.23,ヒスタミン;0.37±0.065,p<0.05)。また低酸素曝露におけるPIR-E_L/PIR-R_L値やPIR-E_Lには負のPEEP依存性があった(PIR:8.07±4.22^*,1.73±0.78,PIR-E_L/PIR-R_L:0.91±0.23^*0.23±0.11;2および8hPa PEEP:^*:8hPaと比較してp<0.05)。ヒスタミン投与の際のE_Lの増大は、主に気管支収縮に伴う二次性の組織の捩じれによるものとされている。従って、私共の結果は、低いPEEPレベルにおけるE_Lの増大の一部分に、収縮性間質細胞などの、気管支の収縮とは独立した組織反応が含まれていること、またこの肺組織の反応は、高いPEEPにおける間質張力の増大に対して敏感であることを示唆していた。
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