研究概要 |
我々は神経系に特異的に分布する新しいカルシウム結合蛋白質の一群を見い出し,P23kファミリーと命名し解析を進めている.本研究課題では,ヒトについて新たなメンバーの解析を行い遺伝性精神神経疾患との関連を追求するとともに,マウスについても検討し,遺伝子座の相同解析や遺伝子欠損マウスの作成などにより,P23kファミリーの生理機能を総合的に追求することを目的とした. ヒト・ヒポカルシンcDNAを用いて,ヒト・脳cDNAライブラリーから新たな2種類のcDNA,HLP3,HLP4を同定した.HLP3cDNAは191アミノ酸からなる計算分子量22135,等電点5.10蛋白質を,HLP4cDNAは191アミノ酸からなる計算分子量22201,等電点4.61の蛋白質をコードしていた.HLP3とHLP4には4個のEF-ハンドモチーフを認めた.HLP3とHLP4mRNAは脳特異的に発現していた.脳内ではHLP3mRNAは脳梁と脊髄を除く脳全体に,HLP4mRNAは大脳皮質と小脳に多く分布していた.ヒト・ハムスター雑種細胞株DNAを用いたConcordance/Discordance解析から,HLP3遺伝子は第2染色体に,HLP4遺伝子は第17染色体に存在することが明らかとなった. ラット・ヒポカルシンcDNAを用いて,マウス・白血球遺伝子ライブラリーからマウス・ヒポカルシン遺伝子を得た.マウス・ヒポカルシン遺伝子は3つのエクソンからなり,約8kbにわたった分布していた.第1エクソンは転写開始点から第3EF-ハンド終りまで,第2エクソンは第4EF-ハンド前半,第3エクソンは第4-EFハンド後半から転写終止点までを含んでいた.転写開始点は翻訳開始点上流180b付近に複数あること,転写終止点は翻訳終止点の下流860bであることが示された.FISH法により遺伝子座を第4染色体D2〜D3と決定した.
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