研究概要 |
1.ハムスター心筋からβアドレナリン受容体燐酸化酵素(βARK)cDNAをクローニングし、全塩基配列を決定した。すでに報告のある他の動物種のβARK cDNA構造と比較検討した。 2.ハムスター心筋からGRK5 cDNAをクローニングし、全塩基配列を決定した。すでに報告のある他の動物種のGRK5 cDNA構造と比較検討した。 3.極微量の心筋サンプルよりGRK mRNA発現量を定量するために、定量的RT-PCR法を確立した。この手法を用いる事で、20%のmRNA発現量の差を、再現性をもって検出できる事を示した。 4.心筋症ハムスター(J2N-K)が心不全モデルとして妥当であるかどうかを検討した。組織学的検討、高周波プローブを用いたMモード心エコーによる心機能の検討、心電図変化、血中CPK値の推移などを検討し、本モデルが心不全の動物モデルとして適当である事を明らかにした。 5.心不全発症後のJ2N-Kハムスターの心筋では、GRK2(βARK)、GRK5 mRNA発現量が健常対照と比較して有意に亢進している事が明らかとなった。 6.ノルエピネフリン長期投与ラット、および培養平滑筋細胞を用いた検討から、GRK2の発現調節にはPKCの活性化が、GRK5の発現調節にはPKAおよびPKCの活性化が関与する事を明らかにした。 7.ノルエピネフリン長期投与ラットにおける検討から、白血球におけるGRK2,GRK5発現量と心筋におけるGRK2,GRK5発現量の間には極めて高い正の相関がある事が明らかになった。この結果から、白血球中のGRK2,GRK5発現量から、心筋の受容体の機能変化を推定することが可能である事が示唆された。 8.GRK2(βARK)の機能を抑制する蛋白の遺伝子を発現単位として挿入した組替えアデノウィルスを作成し、高力価のウィルス液を調整した。
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