研究分担者 |
阪本 整司 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (60253267)
野崎 士郎 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (80243773)
水重 克文 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (90166009)
千田 彰一 香川医科大学, 医学部・附属病院, 教授 (30145049)
松尾 裕英 香川医科大学, 医学部, 教授 (90028514)
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研究概要 |
Mモード血管内エコー法による動脈壁局所粘弾性特性の計測を行うために,血管内エコー装置アロカ社製SSD-550に改良を加え,任意ビーム方向のMモード像を表示可能な血管内エコー装置とした。本装置は,距離分解能が0.15mmである30MHz探触子を搭載するため,ヒト大腿動脈壁厚の心周期性変動が十分な精度で表示可能であり,1画面上で2秒間の間の動脈壁厚の心周期性変動の計測が可能である。さらにモードの切り替えを瞬間的に行うことが可能であるため動脈壁血管内エコー像の断層像とMモード像を迅速に連続して記録可能である。 ヒト大動脈の血管壁固有の粘弾性特性の解析を行うために,本装置を用いて心臓カテーテル検査時に心筋梗塞,狭心症などの心疾患が疑われる例を対象として,大腿動脈のMモード血管内エコー像の記録を行った。内膜肥厚などの動脈硬化病変を認めない正常血管を対象としてもMモード画像は,内膜および外膜が収縮期から拡張期にわたって明瞭に描出でき,血管壁厚の変化も正確に計測可能であった。 Mモード像と同時に記録した断層像から血管内径の計測を行った。またMモード像計測部位にカテ先圧トランスデューサーを挿入し,圧計測を行い,これらの情報を心電図同期で統合し,一心周期にわたる連続した動脈壁引張応力-ひずみ関係(曲線)を求めることにより,局所動脈壁固有の弾性係数を計算した。動脈壁引張応力-ひずみ関係(曲線)はヒステレシスを有しているため,収縮期と拡張期で異なる曲線が描かれた。若年者と高齢者における大腿動脈の弾性係数は明らかに高齢者において高値であり,加齢による動脈壁物性特性変化の定量評価が臨床例を対象として可能と考えられた。今後はさらに症例を積み重ねて,各種動脈硬化促進因子と動脈壁物性特性との関連について検討をすすめる予定である。
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